アブストラクト(39巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Terminal Cardioplegia法による再灌流障害予防に関する臨床的検討
Subtitle : 原著
Authors : 折田博之, 深沢学, 阿部寛政, 乾清重, 広岡茂樹, 鷲尾正彦
Authors(kana) :
Organization : 山形大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 12
Page : 2176-2180
Year/Month : 1991 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 当教室では, 再灌流直後よりの心筋組織血流の改善を目的として, 再灌流直前に冠血管拡張薬(Nicorandil)及びMgを含む晶質液を冠灌流することによる(terminal cardioplegia法, 以下TCP法)再灌流障害予防効果について実験的に検討し報告してきたが, 今回その有効性について臨床的に検討した. 対象は, 成人開心術症例27例とし, 虚血後直ちに再灌流した群を非TCP群(n=15), Mg(20mE/L)及びNicorandil(8mg/L)による2分間のterminal cardioplegia施行群をTCP群(n=12)とした. 両群間の比較検討は心筋組織血流量, CK-MB, CK-MMサブバンドの比であるMM3/MM1及び心機能(CI, LVSWI)を測定して行った. 心筋組織血流量は, 再灌流5分及び10分で, TCP群において有意に多く, 再灌流早期よりの良好な回復が認められた(5分;TCP群:69.9±19.0ml/100g. min, 非TCP群:47.5±20.9, p<0.05, 10分;TCP群:74.9±22.8, 非TCP群:56.1±23.4, p<0.05). CK-MBでは, 術後24時間まで, TCP群で低い傾向がみられた. MM3. MM1比は, 再灌流5分で両群とも高値を示し, 術後3時間では, TCP群において有意に低値となり, 24時間では両群とも正常値に復した(3時間;TCP群:2.6±0.6, 非TCP群:3.4±1.0, p<0.05). LVSWIでは, 術後24時間までTCP群で高い傾向がみられ, 術後6時間では有意な差が認められた(6時間;TCP群:48.6±12.1g. m/m2, 非TCP群:37.1±15.7, p<0.05). 結論:Nicorandil, Mgを用いたTerminal Cardioplegia法により, 再灌流直後よりの組織血流は良好に維持され, MM3/MM1の上昇は有意に抑制され, 心機能障害も非TCP群に比して軽度であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : terminal cardioplegia, 再灌流障害, Nicorandil, 心筋組織血流, CK-MM サブバンド
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