Authors : |
島一郎, 富田裕輔, 籐勇二, 力武浩, 白水玄山, 山名秀明, 藤田博正, 掛川暉夫, 入江康司*, 森松稔* |
Abstract : |
食道原発性未分化癌5例と食道扁平上皮癌131例の核DNA量, 抗Ki-67モノクロナール抗体(Ki-67)による増殖期細胞出現率, Epidermal growth factor receptor(EGFR)発現の有無, 腫瘍発育先進部Leu7陽性細胞浸潤度を検索し, 未分化癌の生物学的特性について検討した. 1. flow cytometry(FCM)による核DNA量の解析では, aneuploidの出現率は未分化癌では60%, 扁平上皮癌では47%であった. 一方, aneuploidのDI値は未分化癌では平均1.7, 扁平上皮癌のそれは1.6で両者ともほぼ同様の値であった. 2. Ki-67による増殖細胞期出現率は, 未分化癌では22±8%, 扁平上皮癌では6.2±6%で, 未分化癌において極めて高く, 増殖活性が旺盛であることが示唆された. 3. EGFRの発現は, 扁平上皮癌では79%に認められたが未分化癌では全例に発現が認められず, 扁平上皮癌とは異なる増殖機構の可能性が推測された. 4. 腫瘍発育先進部のLeu7陽性細胞浸潤度では, 未分化癌は組織学的進行度に関係なく全例とも軽度の浸潤を示し, 宿主の免疫監視機構からの逸脱が示唆された. 以上より, 未分化癌は扁平上皮癌とは極めて異なる生物学的特性を有する腫瘍であることが推察された. |