アブストラクト(40巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 大動脈弁閉鎖不全症における左室機能の可逆性
Subtitle :
Authors : 林純一, 江口昭治
Authors(kana) :
Organization : 新潟大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 40
Number : 1
Page : 43-50
Year/Month : 1992 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 大動脈弁閉鎖不全症50例のうち42例に対し, 術前及び大動脈弁置換術後平均2年の遠隔期に, 心臓カテーテル検査を行い, 左室機能と肥大の程度を計測し, 本症の左室機能の可逆性について解析した. 1. 左室容積, 駆出分画, 心筋重量, 収縮性は術後有意に改善した. また, その術前値と遠隔期の値との間に, それぞれ正の相関を認めた. 2. 術後遠隔期に左室容積, 駆出分画が正常となることが期待できる術前値の範囲は, 左室拡張末期容積係数<180ml/m2, 左室収縮末期容積係数<90ml/m2, 左室駆出分画>0.52であった. 左室心筋重量と左室収縮性は, 術後正常域となる例はほとんどなかった. 3. 術前及び遠隔期とも, 左室収縮末期容積係数と駆出分画, また, 左室心筋重量と左室収縮性との間に, それぞれ負の相関を認めた. 4. 術後2年で左室容積が正常となった例は, 術後平均7年の心臓超音波検査においても, 正常左室機能を示した. 以上, 大動脈弁閉鎖不全症の左室機能・左室肥大は, 術後改善し, 左室容積, 左室駆出分画は正常値近くへ回復したが, 左室心筋重量や左室収縮性の改善は不十分であった, 本症では, かかる障害心筋であっても, 術後左室容積が正常となった例の長期予後は良好であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 大動脈弁閉鎖不全症, 弁置換後左室機能, 左室容積, 左室心筋重量, 左室収縮性
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