アブストラクト(40巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : SEP及び脊髄灌流圧測定が有用であった高齢者大動脈縮窄症の1手術治験例
Subtitle : 症例
Authors : 和田虎三, 宮本巍, 村田紘崇, 前田信証, 山下克彦, 八百英樹
Authors(kana) :
Organization : 兵庫医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 40
Number : 1
Page : 134-140
Year/Month : 1992 / 1
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 大動脈縮窄症に対する血行再建術時に, 体性感覚誘発電位(SEP)及び脊髄灌流圧(SCPP)〔遮断末梢側平均動脈圧(MDAP)と脳脊髄液圧(CSFP)との圧差〕の測定が術後対麻痺発生予防に有用であると思われた59歳の大動脈縮窄症の1例を経験した. 縮窄部の中枢側及び末梢側の単純遮断によりMDAPは61より40mmHgに低下, CSFPは6より15mmHgに上昇し, SCPPは25mmHgと低値で, SEP波形の振幅は徐々に低下消失した. このため, 脊髄虚血障害発生の危険性があると判断し一旦大動脈遮断を解除し, 補助手段として部分体外循環を用いて人工血管置換術を施行した. 部分体外循環中のSCPPを60mmHg以上に維持した結果, SEPの変化も認めず, 術後対麻痺の発生はみられなかった. 本症例では主たる側副血行路が縮窄部直下の下行大動脈に流入し, これが遮断されたためSCPPが低下し, SEPに虚血性変化がみられたものと考えられ, 大動脈縮窄症の手術においてもSEP及びSCPPのモニターは脊髄障害の発生予防に有用であると思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 大動脈縮窄症, 脊髄灌流圧, 体性感覚誘発電位
このページの一番上へ