アブストラクト(40巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術前後のカテコールアミン硫酸抱合型の動態-術後ドーパミン持続投与の影響-
Subtitle :
Authors : 吉栖正典, 加藤逸夫, 江川善康*, 北川哲也, 三木理, 増田裕, 大内武**, 岡源郎**
Authors(kana) :
Organization : 徳島大学医学部心臓血管外科, *徳島大学医学部第2外科, **徳島大学医学部薬理学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 40
Number : 2
Page : 194-201
Year/Month : 1992 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 術後ドーパミン(DA)の持続投与を行った成人開心術症例12例において, 血中の遊離型及び硫酸抱合型カテコールアミン(CA)の変動を測定し, DA投与の抱合形成に及ぼす影響と抱合型CAの生理的意議について検討した. 採血は手術前日から術後72時間までの13の時点で行い, 遊離型CAとsulfatase処理による抱合型CAを酵素アイソトープ法によって同時に測定した. 術前42.8±5.3pg/mlであった血中遊離型DAは, 術後のDA投与開始によって7,654.9±731.7pg/mlに急増し,以後は7,516.7~8,449.2pg/mlのレベルでプラトーを維持した. 一方抱合型DAは, 術前値2,180.6±167.9pg/mlであったが, DA投与開始によって術後24時間の9,850.5±1,313.4pg/mlまで直線的に増加した. 血中遊離型及び抱合型アドレナリン(A)もDAと同様の推移をとり,遊離型AはDA投与によって,118.9±10.1pg/mlから,1,049.5±117.7pg/mlまで上昇し, その後は1,076.8~1,218.9pg/mlのレベルで推移したが, 抱合型Aは, DA投与によって109.2±9.9pg/mlから, 術後48時間の1,461.2±156.6pg/mlまで直線的に増加した. ノルアドレナリン(NA)の場合は, DA, Aと異なり遊離型及び抱合型とも術中より上昇しはじめ, 術後のDA投与開始によって更に上昇したが, 遊離型は術後1時間のピークの後漸減し, 抱合型も術後の直線的上昇はみられなかった. 以上の結果より, 硫酸抱合形成が, 術後大量に投与されたDAを緩衝する保護的貯蔵庫として働いていることが示唆された. また, 血中抱合型DAの定量は, 術後のDA投与を減量する際に, 有用な情報をもたらすものと考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : カテコールアミン, ドーパミン, 硫酸抱合型, 開心術
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