アブストラクト(40巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術における血管外肺水分量の変動に関する研究-減少因子に関する臨床的, 実験的研究-
Subtitle :
Authors : 国吉幸男, 草場昭
Authors(kana) :
Organization : 琉球大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 40
Number : 2
Page : 209-218
Year/Month : 1992 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肺間質における水分貯留はガス交換能障害を引き起こし, 進行すれば肺水腫等の致命的合併症に進展する. そこで, 肺間質水分量を減少させ肺合併症を予防する観点から血管外肺水分量(Extravascular lung water以下, EVLW)を減少させる因子を明らかにすべく臨床的, 実験的研究を行った. 臨床例では開心術術後症例についてEVLWを経時的に測定し, その変動率(以下, %EVLW)と, 肺静水圧(Pulmonary microvascular pressure以下, PMV), 血漿膠質浸透圧(Colloid osmotic pressure以下, COP), 時間尿量, 水分バランスの各因子との相関性を検討した. その結果, EVLWの減少にはCOPの増加, 一定量以上の尿量, 負の水分バランスの因子が相関性を認め減少因子となっていた. 以上の臨床的検討をもとに, 雑種成犬を用いて実験的検討を行った. 4群に分けてEVLWを経時的に測定した. I群;人工呼吸のみ. II群;10cmH2O終末陽圧呼吸(以下, PEEP)のみ. III群;10cmH2O PEEP+生理食塩水負荷, IV群;10cmH2O PEEP+強制利尿+血漿成分投与. 以上の4群中, I, II, III群はいずれもEVLWを経時的に増大させるが, IV群の強制利尿+血漿成分投与を行い, COP上昇, 尿量の確保, 負の水分バランスとした群のみがEVLWは増大せずむしろ低下する傾向を示し臨床例の結果を裏付けた. 以上の臨床的, 実験的検討より, 積極的な利尿剤及び血漿成分等の投与はEVLWを減少させ, 肺間質水分貯留による呼吸不全等の肺合併症を予防しうることが示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 血管外肺水分量(EVLW), 血清膠質浸透圧(COP), 強制利尿, 血漿成分投与
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