アブストラクト(40巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 核DNA量-細胞内蛋白量解析による食道表在癌の悪性度に関する研究-特に病理組織学的所見及び予後との関連について-
Subtitle :
Authors : 中村努, 井手博子
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学消化器外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 40
Number : 2
Page : 242-252
Year/Month : 1992 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 食道表在癌切除例72例について生物学的悪性度の指標とされる核DNA量及び細胞内蛋白量を測定・解析し, 病理組織学的所見及び遠隔成績と対比検討した. 方法は細胞単難後, 核DNAを4',6-diamidino-2-phenylindole(DAPI), 細胞内蛋白をhematoporphyrin(HP)にて染色し, 小病変でも精度の高い測定の可能な蛍光顕微測光法にて測定した. DNA ploidy patternはDiploid 22例(30%), Polyploid 17例(24%), Aneuploid 33例(46%)であった. 病理組織学的因子と対比すると深達度ではepの1例はDiploid, mm 13例ではDiploid 6例, Aneuploid 7例と粘膜癌症例の半数がAneuploidであった. リンパ管侵襲は, Polyploid, Aneuploidの症例はDiploidに比し陽性症例が多かったが, リンパ節転移には有意差はなかった. 病理肉眼型ではDiploidの症例は0-II型が73%を占めたのに対しPolyploid及びAneuploidの症例は0-I型及び0-IIa型とその混合型及び0-III型が多かった. 各DNA ploidy pattern別の予後は相対5年生存率でDiploid 91%, Polyploid 71%, Aneuploid 55%で早期癌症例48例に対象を絞ると死亡例はAneuploidのみであった. 各種予後因子との比較のため多変量解析を行ったところDNA ploidy patternは独立した有意の予後因子であった. 細胞内蛋白量も癌細胞の代謝亢進に相関すると考えられ予後不良例で増量の傾向にあった. 以上の結果より,食道表在癌における核DNA量-細胞内蛋白量による悪性度の解析は症例の予後を予知し, 合併療法などの治療方針を決定する上で有用であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 食道表在癌, 食道早期癌, 蛍光顕微測光法, DNA ploidy pattern, 細胞内蛋白量
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