アブストラクト(40巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 経皮的冠動脈形成術(PTCA)後の合併症に対する緊急冠動脈バイパス手術症例の検討
Subtitle :
Authors : 澤村俊比古, 滝谷博志, 佐々木裕茂, 林昌俊, 河合寿一, 上野勝巳*, 松原徹夫*, 杉山明*, 琴尾泰典*, 渡辺佐知郎*
Authors(kana) :
Organization : 岐阜県立岐阜病院胸部外科, *岐阜県立岐阜病院循環器科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 40
Number : 2
Page : 253-258
Year/Month : 1992 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 当院で1984年8月にPTCAを導入後, 1990年11月までに施行した症例は1,151例で, システムを変更した1988年7月を境として前期298例, 後期853例について検討した. PTCA症例の内訳は, 待機的PTCA症例における慢性完全閉塞例は前期2.3%, 後期17.5%と後期で増加しているが, 非完全閉塞例は前期60.4%, 後期60.5%と変化はなかった. 急性心筋梗塞に対する緊急PTCA症例は, 前期37.2%,後期22%と後期で減少していた. 多枝病変例は, 前期43.6%, 後期46.8%と後期でやや増加していた. PTCAの成功率は, 完全閉塞例で前期42.8%, 後期49.6%, 非完全閉塞例で前期87.2%, 後期91.8%, 緊急PTCA症例では前期73.8%, 後期90.4%といずれも後期で良好であった. PTCA後急性冠閉塞を来した例は, 待機的PTCA症例で前期3%, 後期1%であり, 緊急PTCA症例では前期4.4%, 後期2.7%であった. 緊急CABG施行例は, 前期2例, 後期6例の計8例であり, 待機的PTCA症例852例中4例(0.47%), 緊急PTCA症例299例中4例(1.3%)となり, 全体では0.7%の頻度であった. 緊急CABGの適応は, 心原性ショック4例, 切迫梗塞4例で, 原因は急性冠閉塞6例, 再狭窄1例, ガイドワイヤー遺残1例であった. 平均バイパス数は1.9本, 心電図上NEW-Q波の出現したPMIを, 緊急PTCA症例の全例に, 待機的PTCA症例では1例にのみ認めた. PTCA後緊急CABG症例を待機的CABG症例と比較すると, ICU滞在日数, レスピレーター管理日数, 及び術後在院日数は有意に長く, 気管切開施行例も25%と高かった. 手術死亡はなく, 術後NYHAはI度5例, II度2例, III度1例であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 経皮的冠動脈形成術, 合併症, 緊急冠動脈バイパス術
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