アブストラクト(40巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 術前診断が可能であった左鎖骨上窩胸管嚢腫の1手術例
Subtitle : 症例
Authors : 増田亮, 古畑善章, 笠原大城, 田中勲, 井上雅晴, 武村民子*
Authors(kana) :
Organization : 日本赤十字社医療センター胸部外科, *日本赤十字社医療センター病理
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 40
Number : 2
Page : 320-325
Year/Month : 1992 / 2
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 胸管嚢腫の発生頻度は極めて低く縦隔腫瘍全体の0.0005~0.5%とされているが, 現在までわれわれが検索し得た限り, 自験例を含めて24例の手術切除例の報告が有るに過ぎない. また, 本症例のように左鎖骨上窩に発生した症例は非手術例を含めて欧米に2例, 本邦に3例の報告をみるのみである. 穿刺吸引によって術前診断が可能であった胸管嚢腫の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告した. 本症例は64歳, 女性. 咽頭痛, 頸部圧迫感を主訴として来院, 嗄声, 嚥下困難は認められなかった. 左鎖骨上窩の腫脹を認め同部の穿刺が行われ, 黄白色の乳糜様液体が約15cc吸引された. 胸部CT所見で左鎖骨上窩から前縦隔に掛けて表面平滑な腫瘤像を認め, 内部は均一で嚢腫が疑われた. 以上の所見から左鎖骨上窩に発生した胸管嚢腫と診断した. 切除によって良好な経過を得た. 胸管嚢腫は縦隔腫瘍のなかでも非常にまれなものの1つで現在までわれわれの検索した限りでは1950年にEmersonが最初の治療例を報告して以来1), 内外を通じて手術例は自験例を含めて24例が報告されているにすぎない.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸管嚢腫, 鎖骨上窩, CT, 経皮針生検
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