アブストラクト(40巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 食道癌術前後の血中免疫諸量の変動
Subtitle :
Authors : 渡辺敦, 草島勝之, 川原田修義, 酒井英二, 山口保, 田中明彦, 竹田晴男, 小松作蔵
Authors(kana) :
Organization : 札幌医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 40
Number : 4
Page : 490-499
Year/Month : 1992 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開胸, 開腹を伴う食道癌手術症例18例を対象に, 食道癌, 及び高度手術侵襲が免疫能に与える影響を検討することを目的に, 術前後の血中免疫諸量を臨床的に測定し, 以下の結果を得た. (1)術前lgG-Fc-Receptor陽性T細胞(Tr細胞)が高値を示した. (2)術前に比して, 術後1日目(PO1:以下同様に記す)からPO14まで, 白血球数は増加, リンパ球数は減少した. (3)リンパ球の減少は, T細胞に著明であった. (4)T細胞サブセットでは, Tr細胞が, PO1からPO3まで有意に減少した. (5)モノクロナル抗体OKT4, OKT8陽性細胞〔OKT4(+)細胞, OKT8(+)細胞〕の比率OKT4/OKT8は, PO3に術前に比し高値を示した. (6)表面免疫抗体(sIg)によるB細胞サブセットでは, slgG, sIgA, sIgM, slgD陽性B細胞(BG, BA, BM, BD細胞)とも, PO1からPO3まで有意に減少した. (7)免疫グロブリンは, PO1からPO7まで減少し, PO14では逆に増加した. (8)補体C3, C4はPO1からPO3まで減少した. (9)術前因子では, a因子がBG細胞数とn因子は%BG細胞と有意な負の相関を, 血清総タンパク質量とBG細胞数, IgGが有意な正の相関を示した. また, 身長, 体重, 体表面積とPO7のC3が有意な正の相関を示した. 術中因子と術後免疫諸量は有意な相関を示さなかった. 以上の結果から, 食道癌の術後早期には, 主に非特異的免疫系が機能し, 細胞性免疫系(特にT細胞系)はその自己調節能が破綻している. 特異的免疫系が機能するのは, 早くともPO8以降と考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 食道癌, 開胸開腹, 免疫能, リンパ球サブセット, 液性免疫
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