アブストラクト(40巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : University of Wisconsin solutionによる低温単純浸漬心保存の時間的安全限界に関する実験的検討
Subtitle :
Authors : 森義雄, 広瀬一, 村川真司, 酒井聡, 東健一郎, 山田拓, 橋本昌紀, 小久保光治, 梅田正五
Authors(kana) :
Organization : 岐阜大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 40
Number : 6
Page : 912-920
Year/Month : 1992 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : University of Wisconsin(UW)液による低温単純浸漬心保存時間の安全限界を明確にすることを目的とし, イヌ頸部異所性移植心を用いた実験を行った. 4℃単純浸漬心保存において, UW液を用い, 保存時間が8, 16, 24時間の各群をUW8群(n=5), UW16群(n=5), UW24群(n=5)とした. 臨床的には, 単純浸漬心保存の安全限界は4時間とされていることから, GIKにて心停止後4℃生理食塩水中単純浸漬保存4時間群G4群(n=6)を対照群とした. 左室Emaxの移植前値に対する変化率(%)は, 移植再灌流2時間後, G4群94±13, UW8群104±11となり, 移植前値に回復したが, UW16群67±22, UW24群66±16は, G4群, UW8群に比べて有意(p<0.05)に低く, 24間後でも回復しなかった. レーザー組織血流計による左室心筋組織血流量の移植前値に対する変化率(%)は, 再灌流2時間後,G4群90±19, UW8群98±9となり移植前値に回復したが, UW16群63±19, UW24群61±6は, G4群, UW8群に比べて有意(p<0.05)に低く, 24時間後でも回復しなかった. 再灌流2時間後のCPK流出量(IU/L)では, UW8群1,008±221, G4群1,794±623は, UW16群2,578±674, UW24群7,827±4,135に比べ有意(p<0.05)に低かった. 移植再灌流後2時間の電顕像では, G4群, UW8群では正常構造が保たれたが, UW16群, UW24群ではミトコンドリアの傷害, contraction bandを認めた. 以上, UW液による4℃単純浸漬8時間保存心は, 保存安全限界とされる4℃生理食塩水中4時間保存心と機能的, 形態的にも同様な所見を示した. これによりUW液による8時間保存は可能であることが示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : UW液, 低温単純浸漬心保存, 左室Emax, 左室心筋組織血流量, 電顕組織像
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