アブストラクト(40巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 縦隔鏡検査陽性肺癌における切除例の予後
Subtitle :
Authors : 船津武志, 松原義人, 安田雄司, 小鯖覚, 足立匡司, 小西孝明, 千葉渉, 沢井聰, 畠中陸郎, 池田貞雄
Authors(kana) :
Organization : 京都桂病院呼吸器センター
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 40
Number : 6
Page : 930-936
Year/Month : 1992 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 縦隔リンパ節転移肺癌における手術適応の明確な基準はまだない. われわれは最近20年間に, 術前の縦隔鏡検査で縦隔リンパ節転移を認めた腺癌76例と扁平上皮癌24例の計100例に手術を施行した. これらの手術例についてT因子, 組織型, 原発肺葉, リンパ節転移の部位, リンパ節の郭清範囲及び切除の根治性などと予後との関連について検討した. 相対的治癒切除が行われた13例の5年生存率は28%と比較的良好で, 相対的非治癒切除及び絶対的非治癒切除との間に有意差が認められた. T1, T2例では全例切除でき, 3年生存率と5年生存率はそれぞれT1で18%, 9%, T2で14%, 9%であった. T3とT4例では試験開胸例が多く, 3年以上の生存例はなかった. 扁平上皮癌では3年生存率, 5年生存率はそれぞれ24%, 12%, 一方, 腺癌ではそれぞれ9%, 7%であったが, 両者間に有意差はなかった. 対側縦隔リンパ節転移(N3)は腺癌では76例中30例(38%)と扁平上皮癌の24例中3例(13%)に比べて有意に多かった(p<0.05). 各肺葉別に縦隔リンパ節転移の部位を進展度に応じて第一次(N2-1)と第二次(N2-2)に分類すると, N2-1群の5年生存率は20%であるのに対し, N2-2群は3年以上の生存例はなく両者の間に有意差が認められた(p<0.03). N2肺癌であっても, T1とT2例,又はN2-1群の転移にとどまっている場合には長期生存が期待できるので, 術前に縦隔鏡検査を施行してリンパ節の郭清範囲や手術適応を決め, 積極的に手術を行うべきである.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺癌, 縦隔鏡検査, 縦隔リンパ節転移, 相対的治癒手術, 予後
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