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われわれは成人AS症例(ArII°以下)において, AVR後に左室機能がいかに改善するかを術前低左室機能例を中心に検討した. 先天性AS 3例を含む成人ASの16例を対象とした. 全例にSJM弁を使用した. 左室機能の評価は, 心エコー図法, 連続波ドップラー法及び心カテーテルに基づいた. 死亡は病院死亡の晩期心タンポナーデによる1例(6.3%)のみであった. 術前後に左室機能の有意な推移が認められたの以下の通りである. LVDd:50.3±11.7→44.6±4.1mm(p<0.05), LVDs:38.2±6.2→31.6±5.7mm(p<0.05), %FS:26.5±7.2→32.2±5.3(p<0.05), ESWS:126.2±41.6→69.6±15.4kdynes/cm2(p<0.01). またNYHA分類は術前のII°6例, III°8例, IV°1例からI°8例, II°7例へと改善していた. 術前の%FSが21%以下でESWSが140以上の低左室機能を示した4例では,術後は, %FSが26.0(改善率42.0%), ESWSが72.8(改善率55.6%)と全症例の平均を上回って改善していた. 成人AS症例では, 後負荷を反映するESWSが高くなり心機能が低下していたが, AVR後は心機能が改善し, 特に低左室機能例でESWSと%FSの改善率が大きかった. ASにおける低左室機能はafterload mismatchによるもので心筋の収縮能自体は保たれていると推測された. |
