Abstract : |
1987年までに肺葉切除を行った15歳以下の小児の肺葉内肺分画症20例について検討を行った. 分画肺内の気管支の走行を立体的に構築すると, 正常肺の肺門に向かって集束する中枢向き群8例と, 異常動脈の流入する肺靱帯に向い集束する末梢向き群12例に分かれた. 中枢向き群では分画肺は肺内のどの部分にも存在するが, この部の気管支の欠損がある. 異常動脈は細いmuscular typeで, 肺静脈に流出する. 分画肺内の肺胞構造は破壊され, 炎症所見が強い. Pryceの分類ではIII型とIV型である. 一方, 末梢向き群ではS10部に存在するが気管支B10の欠損はない. 異常動脈は大動脈から太いelastic typeのものが流入し, 肺静脈か大静脈系に流出する. 分画肺内の肺胞構造は比較的良く保たれ, 炎症所見も比較的軽度である. Pryceの分類ではII型とIII型である. 以上よりこの2群は別の疾患であると考えられる. 末梢向き群は本来の肺葉内乱分画症と考えられるが, 中枢向き群は正常肺内の気管支, 又は血管に原因のある疾患であろう. 従来の診断基準ではこの鑑別が難しいので, 肺葉内肺分画症の診断には切除肺と分画肺内の気管支の走行の立体的な構築を含めた詳細な検索が重要である. |