Abstract : |
過去9年間に当院で手術の行われた自己弁感染性心内膜炎(NVE)28例について検討した. 治癒期手術例は13例, 活動期手術例は15例であった. 手術成績は術前心筋梗塞を合併した治癒期例の1例を術後心破裂で, 活動期例の1例を感染性脳動脈瘤破裂で失い, 弁輪部に炎症の及んだ活動期の1例を術後早期置換弁感染から再手術(translocation法)後LOSで失った. また, 高度の弁輪部膿瘍を認めた活動期の1例は当初よりtranslocation法が行われたが遠隔期に腸壊死で死亡した. 他の24例はNYHAII度以下で退院した. 手術時弁輪部に炎症の及んでいた活動期5例の発症から手術までの期間は20日~2ヵ月(平均38日)で他の症例より早い傾向を示し, その起炎菌はstreptococcus faecalis, staphylococcus epidermidis, グラム陰性菌であった. また, 感染性脳動脈瘤を合併した活動期例の起炎菌はcandida albicansであった. 以上よりNVEでは炎症が弁尖にとどまっている限り活動期といえども治癒期例同様手術成績は良好であり, 早期の積極的な外科治療が望ましい. 特に, 血中より上記菌が検出された場合は炎症の進展が速く, 弁輪部膿瘍や感染性脳動脈瘤などの重篤な合併症を併発する以前の可及的早期に手術が必要である. |