Authors : |
佐川元保, 斉藤泰紀, 高橋里美, 遠藤千顕, 薄田勝男, 菅間敬治, 佐藤雅美, 永元則義, 太田伸一郎*, 藤村重文 |
Abstract : |
高齢者や低肺機能者が多い肺癌の外科療法においては, 遠隔期に心不全や肺炎などで死亡する例も少なくない. これらの死亡に対して, 手術が何らかの悪影響を与えている可能性がある. 今回われわれは, 簡速静止人口表により期待生存率を概算し, それとの比としての生存率を算出し, 手術に伴う非担癌他病死に関して評価を試みた. 1985年までに当部門で初回の肺切除を受けた原発性肺癌例1,289例を対象として, 年齢, 術式, 及び病期別の生存率を種々の観点から算出した. 各症例を5歳ごと, 5年ごと, 男女別に分類し, それぞれ対応する簡速静止人口表によって5年期待生存率をあてはめ, これを各集団ごとに算術平均を算出し当該集団の期待生存率と考えた. 更に, それに対して実際にどの程度の割合で生存しているかを算出した. 全死因による生存率では, 当然のごとく高齢者の生存率の低下が著しかったが, 期待生存率との比をとっても, O+I期及びII期においては, 高齢になるにしたがって生存率がやや低下する傾向が認められ, 手術侵襲による非担癌他病死が増加した可能性も考えられた. 一方, IIIA期では, そのような傾向はみられなかった. |