アブストラクト(40巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環下開心術における白血球活性化に関する臨床的検討―特に好中球活性酸素産生能に対するProstaglandin E1の抑制効果―
Subtitle :
Authors : 中沢聡, 江口昭治
Authors(kana) :
Organization : 新潟大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 40
Number : 7
Page : 1078-1084
Year/Month : 1992 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 成人開心術20例を対象に, 人工心肺体外循環(Cardiopulmonary bypass:CPB)中に, Prostaglandin E1(PGE1)を投与し, 白血球活性化, 特に好中球活性酸素産生能の抑制効果を検討した. PGE1を投与した群(PGE1群)10例, 投与しなかった群(対照群)10例で, PGE1は麻酔導入後からCPB終了時まで20~50ng/kg/minを経静脈的に持続投与した. 好中球活性酸素産生能は分離好中球を用いたルミノール依存性化学発光法により測定し, また, CPB前後における補体(C3a, CH50), 白血球数, 好中球エラスターゼの変動を検討した. CPB中補体は活性化されていた. また, 好中球エラスターゼの放出は著明で, CPB終了後30分では対照群2,557±765μg/l, PGE1群1,556±427μg/lに達していた. 第1病日でも対照群494±100μg/l, PGE1群372±25.1μg/lと前値に比べまだ高値であったが, 両群間に差はなかった. 好中球活性酸素産生能はCPB開始30分で対照群43.4±9.0%, PGE1群52.7±6.8%と両群とも前値に対し有意に低下していた(それぞれp<0.01). 白血球数はCPB中ほとんど変動しなかったが, 終了時に好中球を主体に著明に増加した. このとき好中球活性酸素産生能も増大し, この傾向は第1病日まで続き対照群では184±18.2%と前値にたいし有意に高値を示した(p<0.01). これに比べPGE1群では92.0±9.8%と前値に復するにとどまっていた. 以上の結果からCPB中におけるPGE1投与は好中球エラスターゼの放出には影響しないが, 第1病日における好中球活性酸素産生能の増大を抑制していた. このことはCPBに関連しておこる白血球活性化反応を軽減する可能性を示唆している.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 人工心肺体外循環, 白血球活性化, Prostaglandin E1, 好中球活性酸素産生能, 好中球エラスターゼ
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