アブストラクト(40巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術における二期的胸骨閉鎖の指標とその有用性
Subtitle :
Authors : 三澤吉雄, 長谷川嗣夫, 福島鼎, 蘇原泰則, 加藤盛人, 村山史雄, 長谷川伸之, 堀見博之, 齋藤力, 山口勉
Authors(kana) :
Organization : 自治医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 40
Number : 7
Page : 1085-1088
Year/Month : 1992 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術における胸骨仮閉鎖時に平均左房圧あるいは中心静脈圧が2mmHg以上持続的に上昇する症例では, 胸骨を後日に二期的閉鎖とすることとした. 対象201例中7例(3.5%)で胸骨を一期的に縫合閉鎖せず開放のままとし皮膚縫合のみとした. 後日全例二期的に胸骨閉鎖をすることができた. これらの7例と一期的に胸骨閉鎖した症例との体外循環時間は, 481±182分対204±89分(p<0.01), 心室細動時間は185±110分対62±48分(p<0.05), 心筋虚血時間は90±51分対71±53分(p>0.05)であり, 体外循環時間, 心室細動時間は二期的閉鎖症例で有意に長く, 心筋虚血時間には差がなかった. なお胸骨閉鎖までに必要とした日数は, 1例(12日)を除き1週間以内であった. 胸骨閉鎖時に採取した心のう, 前縦隔内容物からは細菌, 真菌は検出されず, 胸骨閉鎖前後に縦隔炎などの重篤な感染症は発生しなかった. 僧帽弁位機能不全で再弁置換術の1例は術後4ヵ月で心不全死し, 上行大動脈瘤切迫破裂の1例は, 術後11ヵ月に上行大動脈の偽性動脈瘤破裂の術後に病院死した. 他の5例は外来通院中である. 平均左房圧あるいは中心静脈圧の上昇は, 二期的胸骨閉鎖の指標となり得ると考えられ, 二期的に閉鎖することによる感染症などの合併症は術後管理の向上により予防可能であり, 開心術後の循環動態不安定症例には, 積極的に二期的閉鎖を選択すべきと考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 二期的胸骨閉鎖, 開心術, e-PTFE membrane, 体外循環, 術後管理
このページの一番上へ