アブストラクト(40巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 家族性高コレステロール血症に対する冠動脈バイパス術の検討
Subtitle :
Authors : 手取屋岳夫, 川筋道雄, 榊原直樹, 上山圭史, 竹村博文, 渡辺洋宇
Authors(kana) :
Organization : 金沢大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 40
Number : 7
Page : 1095-1099
Year/Month : 1992 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 家族性高コレステロール血症(FH)患者48例に施行した冠動脈バイパス術(CABG)について手術及び遠隔成績を検討した. 全例ヘテロ接合体性FHであった. 冠動脈病変は1枝1例, 2枝9例, 3枝23例, 左主幹部15例で, 重症冠動脈病変が高率であった. 心筋梗塞既往例は26例であった. 罹患冠動脈枝数は多いが病変が末梢まで認められるため, 平均バイパス本数は2.3本と少なかった. 大動脈弁上狭窄が2例, 腹部大動脈瘤が3例, 末梢動脈病変が10例に認められた. 再手術は4例であった. 内胸動脈は26例に, 胃大網動脈は4例に使用した. 手術死はなかったが, 1例はGVHDで病院死した. 術後早期の開存率は静脈グラフト95%, 動脈グラフト100%で, 全体で97%であった. FH患者の動脈グラフトには, 冠動脈に特徴的な粥状硬化は認めず, 非FHと同様の組織学的構築を示した. 術後全例に抗コレステロール剤を投与し, コントロール不十分な4例にLDL-apheresisを施行した. 遠隔期死亡は悪性腫瘍による3例のみで, 心臓死は認めず, 累積生存率は術後11年で83%であった. 手術生存例47例のcardiac-event free rateは静脈グラフト群では術後10年で53%, 動脈グラフト群では術後5年で93%で, 全体で術後10年で58%であった. FH患者の手術成績は非FH患者と同様に良好であったが, 動脈グラフトの使用と共に, 抗コレステロール治療が重要であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 家族性高コレステロール血症, 長期予後, 冠動脈バイパス術, 動脈グラフト
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