アブストラクト(40巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 甲状腺機能低下症を伴った虚血性心疾患に対する大動脈‐冠動脈バイパス術の1治験例―大動脈壁の組織学的検討―
Subtitle : 症例
Authors : 野島武久, 森渥視, 渡田正二, 尾上雅彦, 田畑良宏, 岡部英俊*
Authors(kana) :
Organization : 滋賀医科大学第2外科, *滋賀医科大学検査部
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 40
Number : 7
Page : 1121-1124
Year/Month : 1992 / 7
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 甲状腺機能低下症を伴った労作時狭心症に対し, 大伏在静脈グラフトを用いた大動脈‐冠動脈バイパス術を行った. 術中閉胸過程で, グラフトの中枢側吻合部近くの大動脈壁に亀裂が入り大量出血を来し, その止血に難渋した. 術後, 上行大動脈壁の病理組織学的検索を行ったところ, 大動脈壁には粥状変化が乏しいにもかかわらず, 酸性ムコ多糖類の沈着と弾性線維の断裂所見があり, 極めて脆い壁構造を呈しており, これが出血の一因となったと考えられた. これらの所見より, 甲状腺機能低下症を伴う心・大血管手術に際しては, 術前における皮膚生検も考慮されるべきであると思われる. このような, 甲状腺機能低下症に伴う脆弱な大動脈壁の報告は, 本邦では自験例以外には見あたらない.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 甲状腺機能低下症, 大動脈‐冠動脈バイパス術, 大動脈壁, 弾性線維, ムコ多糖類
このページの一番上へ