アブストラクト(40巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心房心室錯位を伴う心疾患に対する外科治療
Subtitle :
Authors : 山岸正明*, 今井康晴, 星野修一, 石原和明, 高英成, 長津正芳, 新岡俊治, 黒澤博身*
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学日本心臓血圧研究所循環器小児外科, *東京慈恵会医科大学心臓外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 40
Number : 8
Page : 1167-1176
Year/Month : 1992 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心房心室錯位を伴う心疾患は交差循環となっているが系統動脈心室は解剖学的右室であり, また多彩な心内奇形の合併や特異的な刺激伝導系の走行といった解剖学的特徴を持つため, 外科治療に際して種々の問題点を残している. 1977年1月より1991年10月までに当科において心内修復術を施行した心房心室錯位を伴う心疾患47例を対象とし(Fontan手術症例とDouble inlet ventricleに対する心室中隔作成術症例は除く), 手術手技, 成績, 心機能について検討した. 手術時年齢は2ヵ月から21歳(平均9.2歳). 臓器心房位は正位39例, 逆位8例, 心室大血管関係は錯位24例, 両大血管右室起始23例であった. 主な合併奇形はVSD45例, ASD36例, PS21例, PA15例, TR13例, MR8例, AR2例であった. 解剖学的右室を系統動脈心室としたRV群35例での主な術式はVSD閉鎖術34例(VSD到達法は経右房22例, 経大動脈10例, 経右房+大動脈1例, 経右房+肺動脈1例), Rastelli手術25例, 左室流出路後側方拡大術2例, 肺動脈弁交連切開術1例, 三尖弁形成術2例, 三尖弁置換術1例, 僧帽弁形成術3例, 僧帽弁置換術1例, 大動脈弁置換術1例であった. 解剖学的左室を系統動脈心室としたLV群12例での術式はMustard+Rastelli術6例, Senning+Rastelli術3例, Senning+動脈スイッチ術2例, Mustard+動脈スイッチ術1例, 僧帽弁形成術3例, 僧帽弁置換術1例であった. 再手術はRV群の3例に施行した(三尖弁形成術1例, 三尖弁置喚術+大動脈弁置換術1例, 心外導管置換術1例). 手術死亡はRV群3例, LV群2例, 遠隔死RV群2例であった. 本症に対する外科治療方針は右室を系統動脈心室として使用する場合にはVSDは経右房によりde Leval法に準じて閉鎖し, PS解除にはRastelli術, あるいは左室流出路後側方拡大術を選択する. 術前中等度以上のTR合併例, 右室機能低下例, 高齢の症例, 低形成右室例, または右室を系統動脈心室とした場合の術後早期TR発症例については積極的に解剖学的根治手術を試みるべきである.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心房心室錯位, 三尖弁閉鎖不全, 刺激伝導障害, Rastelli手術, 解剖学的根治手術
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