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癌性胸膜炎を伴う症例の予後は極めて悪く, 胸水のコントロールは決して容易ではない. われわれは, 悪性胸水の制御と胸腔内播種病巣への抗腫瘍効果を目的として, シスプラチン（CDDP）の胸腔内投与と高周波電流による温熱療法を併用した局所温熱化学療法を17例に施行した. 対象は肺癌（11例）, 乳癌（2例）, 食道癌（1例）及びS状結腸癌（1例）に起因する癌性胸膜炎15例とび漫性胸膜中皮腫2例であった. 局所温熱化学療法は, ダブル・ルーメンのトロッカーカテーテルを胸腔内に留置し, 加温直前にCDDP1～2mg/kgを胸腔内投与後, 胸壁より13.56MHzの高周波誘電加温装置で胸腔内温度42～43℃に維持しつつ, 45～60分間加温した. CDDPは注入24時間後に回収した. これを1回として週1回, 計3回を目標に本法を行った. 治療効果は著効あるいは有効14例（87.5％）, 無効2例, 判定不能1例であった. 肺腺癌1例では, 本治療後の胸腔鏡検査で播種病巣の消失が確認できた. 副作用は17例中12例（70.6％）に治療後1～2日間の嘔気, 嘔吐を認めたが, これらの程度はCDDPあるいはその他の抗癌剤の経静脈的投与の時と比較して軽微であった. 予後は, 癌死9例, 他病死1例で, 他の7例は27ヵ月を筆頭に生存中である. 50％生存期間は15ヵ月で, 2生率は41.7％であった. CDDP胸腔内注入による温熱化学療法は, 簡便で侵襲が少なく, 同一症例で治療回数を重ねることが出来, 癌性胸膜炎, 胸膜播種病巣の局所, 特に胸水制御に有用な方法であると考えられる. |
