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開心術症例において体外循環後に自己多血小板血漿（PRP）再輸注を行ったPRP群と自己新鮮血輸血を行った全血群とで止血効果を比較検討した. 対象は1990年12月より1991年9月までの自己血開心術を目標とした成人14例でPRP群7例（年齢57±11歳；冠状動脈バイパス術3, 弁膜症手術など4）, 全血群7例（58±4歳；冠状動脈バイパス術3, 弁膜症手術4）とした. 両群で体重, 体外循環時間等に有意差はなかった. 自己PRP及び自己全血はともに麻酔導入後に採取し, 採取量はそれぞれ平均724ml, 401mlであった. 血小板数はPRP中で平均26×104/mm3, 全血中は18×104/mm3であった. ADP凝集能および凝固第II, V, VII～X因子活性はPRPにおいて全血より高値であった. 体外循環中のヘマトクリット値はPRP群において全血群より有意に高く維持された. 体外循環により低下した血小板数, 血小板機能, 各凝固因子活性はPRP再輸注により改善した. PRP再輸注（又は全血輸血）後のADP凝集能及び凝固第VII～X因子活性, 活性化部分トロンボプラスチン時間（APTT）はPRP群において全血群より回復が有意に良好であった. ヘパリン中和後から閉胸時までの出血量は, PRP再輸注（又は全血輸血）後のAPTT及びADP10μM凝集能の回復が良いほど少ない傾向が認められ, またPRP群において全血群より有意に少なかった. 以上から体外循環後の自己PRP再輸注は, 特に血小板機能と内因性凝固系を回復させることにより出血量を減少させ, 自己血開心術や同種血輸血節減に寄与すると考えられた. |
