アブストラクト(40巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 乳幼児左右短絡先天性心疾患における耐糖能の研究
Subtitle :
Authors : 金沢宏, 江口昭治
Authors(kana) :
Organization : 新潟大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 40
Number : 9
Page : 1675-1684
Year/Month : 1992 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1980年から1988年までに3歳未満先天性左→右短絡心疾患32例に対し心臓カテーテル検査を行い, その血行動態と耐糖能, インスリン分泌能を調べた. この32例をI群:標準体重の80%以上11例(88.4±7.65%), II群:80%未満70%以上10例(75.5±2.92%), III群:70%未満群11例(59.1±5.27%)に分け比較検討した. 血液生化学的検査結果は3群間に差はなかったが, 肺体血圧比Pp/PsはIII群がI群に対し高い値を示した. 混合静脈血酸素飽和度SvO2は, I群69.5±6.41%, II群64.8±5.75%, III群57.2±3.95%でIII群が低値を示した. III群は動脈血酸素飽和度SaO2も低値で, 強い心不全状態にあることが示唆された. 0.5g/kg経静脈的ブドウ糖負荷試験を施行し血糖消失率K値をみるとI群3.30±0.597, II群2.91±0.624, III群2.48±0.417とIII群で低値であり, III群の耐糖能の低下を認めた. インスリン分泌能ではIII群は3分値26.6±18.3μu/ml, 5分値22.8±14.3μu/mlと低値で, インスリン分泌の低下を示した. これらの32症例のうち17例(I群2例, II群5例, III群10例)に引き続き手術を施行したが, III群の2例が手術死亡した. 耐術例15例中12例(I群1例, II群3例, III群8例)で手術前後の耐糖能, インスリン分泌能を比較した. 手術3~4週間後には血糖消失率K値3.81±0.81(術前2.80±0.41), インスリン値も3分, 5分, 10分, 15分値とも有意に高値を示し, 耐糖能・インスリン分泌能は改善していた. 重症左右短絡先天性心疾患児は術前から栄養状態が不良なことが多く, 手術前後の栄養管理は手術成績向上のため積極的に栄養管理を行う必要があると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 乳幼児cardiac cachexia, %標準体重, 耐糖能, インスリン分泌能, 栄養管理
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