アブストラクト(40巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺切除による運動時左心機能の変化について―核聴診器による検討―
Subtitle :
Authors : 富士崎隆, 五味渕誠, 庄司佑
Authors(kana) :
Organization : 日本医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 40
Number : 9
Page : 1685-1692
Year/Month : 1992 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肺切除術が左心機能に及ぼす影響を肺切除症例29例の術前後に運動負荷を行い, 核聴診器を用いて非観血的に検討した. 安静時には術後一回拍出量SV, 終末拡張期容量EDV, 駆出率EF, 収縮速度ERが減少し(p<0.001, 0.001, 0.05, 0.001), 心拍数HRが増加した(p<0.001). しかし, 拡張速度FR, 心拍出量COに有意差はなかった. 最大運動時にはEDV, SV, ER, FRが減少し(p<0.005, 0.005, 0.001, 0.005), HRとEFには有意差がなくCOが減少した(p<0.005). また, 安静時に対する最大運動時の増加率はCOとFRが減少したが(p<0.005, 0.001), その他の増加率に有意差はなかった. 切除量別にみると, 二葉切除以上の群ではEFを除いて上記と同様の有意差を示したが, 一葉切除群ではERとFRが同様の傾向を示すのみであった. 年齢別では, 60歳以下では同様の傾向を示した. しかし65歳以上では術後安静時にHRに有意差はなく, COが減少した(p<0.01). 逆に最大運動時にCOに有意差はなかった. 以上から肺切除による左心機能の変化は前負荷の低下によるEDVとSVの減少であり, 安静時にはHRにより補正されるが, 運動時には補正しきれずにCOの減少を来す. この変化は切除量が大きいほど著しく, また, 高齢者ではHRの補正が少なく安静時COの減少を来すと考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺切除術, 運動負荷, 左心機能, 核聴診器, シンチグラム
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