アブストラクト(40巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 動脈系グラフトのみを用いた冠動脈バイパス手術の経験
Subtitle :
Authors : 川上恭司, 中尾達也
Authors(kana) :
Organization : 厚生連廣島総合病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 40
Number : 9
Page : 1714-1720
Year/Month : 1992 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1989年12月から1991年7月までの1年8ヵ月間に行った冠動脈バイパス症例56例に対し, 静脈グラフトを全く使用せず動脈グラフトのみを用い手術を行った. 年齢は43~85歳, 平均66.8歳, 疾患は狭心症24例, 陳旧性心筋梗塞23例, 急性心筋梗塞9例であった. 術前の冠動脈造影による病変枝数は, 1枝病変3例, 2枝病変19例, 3枝病変31例, 左冠動脈主幹部病変9例であり, バイパス枝数は1患者あたり平均2.6本であった. 使用バイパスグラフトは左内胸動脈56本(58ヵ所), 右内胸動脈29本, 右胃大網動脈56本, 合計141本であった. 急性心筋梗塞を含めた手術死亡は2例(3.6%)であり, 待機手術での手術死亡は1例(2.1%)であった. また, 術後1~2ヵ月に行った冠動脈造影によるグラフト閉塞は7本であり, 短期開存率94.3%であった. 両側内胸動脈, 右胃大網動脈を用いることによりすべての領域の冠動脈吻合がin situで到達可能であった. また, 緊急手術においても, 再開通の得られている症例においては, 動脈グラフトの使用が可能であった. 本術式は良好な長期成績の期待できる有用な方法と思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 冠動脈バイパス手術, 動脈グラフト, 内胸動脈, 右胃大網動脈, 緊急手術
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