アブストラクト(40巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 左肺全摘術後, 左胸腔消失から労作時呼吸困難と著しい対側肺過膨張を呈した成人症例
Subtitle : 症例
Authors : 寺田泰二, 松延政一, 松本和也, 根本正, 津田透, 清水慶彦*
Authors(kana) :
Organization : 総合病院健康保険滋賀病院呼吸器センター, *京都大学生体医療工学研究センター人工臓器部門
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 40
Number : 9
Page : 1749-1751
Year/Month : 1992 / 9
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 一側肺全摘後, 縦隔変位及び残存肺の過膨張から, 呼吸困難を主訴とし, 時として呼吸不全状態となる症例が報告されているが, ほとんどは幼児から20歳前後の症例である. 今回われわれは, 成人後(当時33歳)に左肺全摘術を受け, 左胸腔の完全消失, 右肺の著しい過膨張により, 9年後から始まった強い労作時呼吸困難を主訴とする49歳女性を経験した. 気管支ファイバースコープ検査では気管の左側変位以外変形を認めなかったが, 肺機能検査で残気率が高く, 最大換気量が著しく低値であった. これらの原因として右肺が左後腋窩線まで過膨張し, 残気率及びコンプライアンスの高値から労作時十分な換気が得られなかったためと考えられた. 一側肺全摘後の肺機能は, 縦隔の移動や対側肺の膨張の程度により変化し, 単純に予想することができない. 今後, このような症例を防止するには, 特に若年症例の場合, 全摘腔に補填物を入れる必要があると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 一側肺全摘術, 縦隔変位, 対側肺過膨張, 胸腔内補填, SF6
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