アブストラクト(40巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 虚血再灌流障害におけるprotease inhibitor(Nafamostat mesilate)の心筋保護効果
Subtitle :
Authors : 柴田利彦*, 山本文雄, 大橋壮樹, 嶌田泰之, 中島伸之, 木下博明*, 川島康生
Authors(kana) :
Organization : 国立循環器病センター心臓血管外科, *大阪市立大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 40
Number : 10
Page : 1853-1858
Year/Month : 1992 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : Isolated working rat heart modelを用いてprotease inhibitorであるNafamostat mesilate(NM)の心筋保護作用を検討した. 37℃33分常温虚血実験を実験1, 20℃150分低温虚血実験を実験2, 再灌流時のNM添加実験を実験3として, 各種心機能の虚血後値を前値に対する%回復率として求めた. また, Langendorff再灌流時の冠灌流液へのCK及びCathepsin Bの遊出量を測定し, 比較検討した. (結果)実験1:大動脈流量回復率(%AoF)は3μMを至適濃度とするベル型dose-response curveを示し, 至適濃度での64.2±1.2%はcontrol群の52.3±2.5%に比し有意(p<0.05)に増加した. 5μM群でのCK遊出量32.3±5.7(IU/15min/gr dry wt)はcontrol群での53.4±6.2に比し有意に低値を示した. また, ライソゾーム酵素であるCathepsin Bの遊出量をみると, 5μM群での8.2±0.5(×10-11AMC/15min/gr dry wt)及び10μM群での8.4±0.5は, control群の33.2±4.2に比し有意(p<0.01)に抑制された. 実験2:%AoFは10μMを至適濃度とするベル型dose-response curveを示し, 至適濃度での68.9±3.1%はcontrol群の54.1±1.4%に比し有意(p<0.05)に増加した. CK及びCathepsin B遊出量は両者とも10μM群で有意に低値を示した. 実験3:%AoFは10μMで有意(p<0.05)に増加したが, CK遊出量の低下は認められなかった. 以上より常温及び低温虚血におけるNMの心筋保護効果が認められた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 虚血再灌流障害, 心筋保護, 蛋白分解酵素阻害剤, カテプシンB, ライソゾーム
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