アブストラクト(40巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術後の横隔神経麻痺に関する検討-術後管理上の問題点とその対策-
Subtitle :
Authors : 阪越信雄*, 中埜粛, 島崎靖久, 金香充範, 宮本裕治, 西村元延, 中原数也, 武田伸一, 松田暉
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科, *紀南総合病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 40
Number : 10
Page : 1859-1865
Year/Month : 1992 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術後の横隔神経麻痺(麻痺)に関し, 呼吸管理上の問題点とその対策について検討した. 対象は, 1988年12月から1991年3月までの成人開心術248例のうち, 術後麻痺を発生した17例(6.9%)である. 後天性弁膜症9例(うち7例は再手術), 冠動脈疾患7例, 大動脈瘤1例であった. 経皮的頸部横隔膜神経刺激試験(横隔神経刺激試験)又は, 抜管後の胸部X線で麻痺を診断した. 完全麻痺例では長期挿管となる頻度が高かった. 4例で呼吸器からのweaning中に努力性呼吸を認めた. うち2例ではそのまま抜管し, 呼吸・循環状態の悪化を認め, 再挿管後の横隔神経刺激試験で麻痺を確認したが, ともに肺炎にて死亡した. 残り2例では麻痺を疑い抜管前に横隔神経刺激試験にてこれを確認し, weaningを中断し呼吸循環動態を安定させ, 後日抜管できた. 呼吸状態の悪化により再三再挿管を要した他の1例では, 横隔神経刺激試験で麻痺が回復したことを確認した後に抜管した. 再手術例では麻痺発生頻度が高く, これには過剰な剥離操作が関与している可能性があると考え, 最近の僧帽弁再手術の4例では, 右側左房の剥離を行わず経心房中隔アプローチで手術を行っており術後麻痺の発生をみていない. 以上より, (1)完全麻痺例では長期挿管を要することが多かった. (1)麻痺の早期診断や抜管時期の判定に横隔神経刺激試験は有用であった. (3)再手術例では麻痺の発生頻度が高く, 剥離を最小限にとどめることが麻痺予防のために有用であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 横隔神経麻痺, 横隔神経電気刺激試験, 呼吸管理, 僧帽弁再手術
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