| Authors ： |
佐々木昭彦, 数井暉久, 田口晶, 川島敏也, 渡辺敦, 井上紀雄, 山口保, 稲岡正己, 山田修, 小松作蔵 |
| Abstract ： |
マルファン症候群を除くI型解離性大動脈瘤19例, IIIb型解離性大動脈瘤20例を対象に, 術後解離腔残存に影響を及ぼす因子について検討した. 手術はI型では急性期10例, 慢性期9例, 上行, 部分弓部置換術6例, 上行, 弓部全置換術13例, IIIb型では全例下行大動脈人工血管置換術を施行した. 術後人工血管吻合部末梢側より始まる解離腔残存はI型で10例（52.6%）, IIIb型7例（35.0%）であった. I型では急性期手術10例中4例（40%）, 慢性期手術9例中6例（66.7%）に解離腔残存を認め, 上行, 部分弓部置換術6例中4例（66.7%）, 上行, 弓部全置換術13例中6例（46.2%）に解離腔残存を認めた. Graft exclusion techniqueでは9例中1例（11.1%）, graft inclusion techniqueでは10例中9例（90%）に解離腔残存を認め, 前者で有意に解離腔残存は少なかった. また, 上行, 弓部全置換術ではgraft exclusion techniqueによる解離腔残存は8例中1例（12.5%）と有意に低かった. IIIb型では急性期手術3例中2例（66.7%）, 慢性期手術17例中5例（29.4%）, graft exclusion technique10例中3例（30%）, graft inclusion technique 10例中4例（40%）に解離腔残存を認めた. IIIb型では術前の解離腔の大きさは解離腔閉鎖群6.7±3.2cm2, 解離腔残存群11.1±4.3cm2と解離腔残存群で有意に大きかった. I型では急性期に, 上行, 弓部全置換術のgraft exclusion techniqueはinclusion techniqueより術後の解離腔残存は少なかった. IIIb型では, 慢性期のgraft exclusion techniqueによる下行大動脈人工血管置換術の解離腔残存は少ないが, 術前の解離腔の大きさもまた重要な因子であった. |
