Abstract : |
絶対的, あるいは相対的治癒切除を行った原発性肺癌308例(腺癌160例, 扁平上皮癌121例, 大細胞癌15例, 小細胞癌12例)について切除後4年以上の観察期間での局所再発について検討した. 局所再発を, (1)肺門, 縦隔, 鎖骨上窩のリンパ行性転移によるもの(リンパ路再発), (2)切除断端部の再発(断端再発), (3)癌性胸膜炎や心膜炎によるもの(胸膜・心膜再発), (4)いわゆるendobronchial metastasisによる再発(気管支腔内再発)に分けた. 局所再発率は全対象例の18%で, 腺癌17%, 扁平上皮癌19%, 大細胞癌13%, 小細胞癌17%であった. 術後病期別にはI期9%, II期15%, IIIA+IIIB期35%と病期の進行に伴って有意に高くなった. 局所再発の様式別には, リンパ路再発45例, 断端再発6例, 胸膜・心膜再発6例, 気管支腔内再発2例とリンパ路再発が大部分を占めていた. リンパ路再発率はpN因子と有意の関連を示し, また中枢発生例が末梢発生例に比べ高かった. しかし, pT因子や発生肺葉別には関連はなく, また転移リンパ節の部位(レベル)数との関連もみられなかった. 肺門・縦隔への放射線療法はリンパ路再発の防止に有効であることが示唆された. 以上より, 局所再発の様式としてはリンパ路再発が多く, リンパ節郭清術式の改良や, 局所再発防止のための放射線療法などの術後アジュバント療法が今後, 更に検討されるべきである. |