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大動脈弁狭窄症(AS)13例, 大動脈弁閉鎖不全症(AR)19例を対象として左室心筋組の定量及び半定量形態学的評価を行い, 心エコーより求めた術前後の左室心筋重量及び左室収縮能, 拡張能との関連を検討し以下の結論を得た. 1. AS群:左室心筋の変性所見はAR群に比べて軽度であった. ASの求心性心肥大における心筋重量の増大は, 主に筋原線維の増加による心筋細胞横径値(Diameter)の増大によるもので, 間質の線維化率(%Fibrosis)の関与はあまりみられなかった. また, 術前及び術後遠隔期において心筋重量係数(LVMI)は左室収縮能の指標である-V/Dd, 拡張能の指標である+V/Ddとそれぞれ有意(術前:p<0.01, p<0.05, 術後:p<0.05, p<0.05)の負の相関がみられた. 更に術前LVMI≧300g/m2, Diameter≧30μmでは+V/Ddは術後遠隔期に正常域に回復しなかった. 2. AR群:左室心筋の変性所見はAS群に比べて高度であった. ARの遠心性心肥大における心筋重量の増大にはfibrosisが大きく関与していた. 更にfibrous contentは術後遠隔期においてもLVMIと有意(p<0.01)の正の相関がみられた. また, 術前及び術後遠隔期においてLVMIは-V/Dd, +V/Ddとそれぞれ有意(術前:p<0.05, p<0.01, 術後:p<0.01, p<0.01)の負の相関がみられた. 更に術前LVMI≧300g/m2, %Fibrosis≧16%では-V/Dd, +V/Ddとも術後遠隔期に正常域に回復しなかった. 以上よりAS, ARにおいて術前の左室心筋重量と左室心筋の組織学的変化は, 術後の左室収縮能及び拡張能の可逆性と密接な関連を有すると考えられた. |
