Authors : |
北村惣一郎, 庭屋和夫, 河内寛治, 森田隆一, 谷口繁樹, 川田哲嗣, 小林修一, 福富正明, 亀田陽一, 長谷川順一 |
Abstract : |
適応条件を満たす患者の死後24時間以内の病理解剖時に許可を得て大動脈弁(allograft)を採取し, 抗生物質による消毒後4℃新鮮保存(fresh storage), あるいは凍結保存(cryopreservation)した. これらの同種弁の線維芽細胞を主とする細胞, 組織構築の光学, 電子顕微鏡的にみた保存状態は良好であり, 5例に臨床応用した. fresh allograft 3例, cryopreserved allograft 2例であり, なお術後追跡期間は短いが, いずれもNYHA I度に回復した. リーファリンの内服は行っていない. 運動負荷心臓カテーテル検査による弁機能の検討では, 収縮期圧差は全く生じず軽微な逆流を3例に認めた. 本弁の使用では長期の追跡が必須であるが, 同種弁のcryopreservationとその臨床応用は本邦で初めての経験であり, その使用可能化への努力は, わが国の心血管外科の発展に意義あるものと考え報告した. |