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1985年1月より1990年3月までに施行したOmnicarbon弁による大動脈弁置換術（AVR）53例と僧帽弁置換術（MVR）37例の計90症例を対象とした. 手術時年齢は34～72歳, 平均51歳, 性別は男性42例, 女性48例であった. 早期死亡は3例でその原因は, 体外循環中の逆行性大動脈解離, 術後急性腎不全, 及び術後縦隔洞炎による感染性上行大動脈瘤の破裂によるものであった. 1991年1月現在, 手術生存例の術後追跡期間は320 patient-year（py）であった. 遠隔期死亡は7例で（8.0％）で, 術後6年の累積生存率は, 86.3％（98.8％：AVR, 82.1％：MVR）であった. 死亡原因では, 人工弁に由来する死亡は4例, 心原性の死亡は3例（心不全2例, 突然死1例）で, 人工弁に由来する死亡4例の内訳はprosthetic valve endocarditis（PVE）2例, 血栓塞栓症1例, 血栓弁1例であった. 人工弁関連非死亡率は術後6年で93.5％（100％：AVR, 88.1％：MVR）であった. 人工弁由来の合併症は, 血栓塞栓症及び血栓弁は2例（0.63％/py）, PVE3例（0.94％/py）, 人工弁離脱1例（0.31％/py）で, 抗凝固療法に伴う出血及び人工弁に由来した溶血の発生は認められなかった. 以上の結果より, Omnicarbon弁は抗血栓性, 耐久性に優れ遠隔期合併症の少ない人工弁と考えられる. |
