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最近, われわれは急性期Stanford A型大動脈解離に対して, 上行弓部大動脈置換術を術式の第一選択としている. 今回, 手術成績からこの術式の選択の妥当性に検討を加えた. 1986年4月から1991年4月までの約5年間に当科において手術を施行したStanford A型大動脈解離39例のうち急性期に手術を施行した26例を対象とした. 急性期上行弓部大動脈置換を施行した症例13例をA群, 急性期上行大動脈置換を施行した症例13例をB群として検討した. 手術死亡は26例中5例で19％であった. 内訳はA群3例（23％）, B群2例（15％）であった. 遠隔死亡はA群に2例, B群に1例あった. A群, B群に関して, 術中術後管理について検討した. 心停止時間はA群148±40分, B群116±55分, 手術時間はA群675±236分, B群588±124分でいずれもA群に長い傾向にあったが有意差はなかった. 術中出血量はA群2,758±3,160ml, B群2,083±1,527mlでこれも有意差はなかった. 術後挿管期間はA群177±230分, B群89±75分, ICU滞在時間はA群12±9日B群7±4日であり, A群で長い傾向にあるものの有意差を認めなかった. すなわち急性期症例では, 上行大動脈置換術と, 上行弓部大動脈置換術の間には手術成績に差はみられなかった. 術中術後成績にも有意な差はみられなかった. この結果は急性期においても上行弓部大動脈置換術を選択することの妥当性を示唆したものである. |
