Abstract : |
54例のMGに対する拡大胸腺摘出術で郭清された縦隔脂肪を組織学的に検索した. 54例中47例の縦隔脂肪郭清は, 右上・右中・右下・左上・左中・左下の6領域に分けて行った. 上部領域とは胸腺上極周囲を, 中部領域とは肺門を中心とした部分を, 下部領域とは胸腺下極から横隔膜までをさす. その結果, 54例中41例75.9%に郭清脂肪中に組織学的胸腺組織が出現した. 各6領域の出現率は, 以下の通りである. 右上15%・右中21.4%・右下19%・左上17.5%・左中66.7%・左下33.3%であった. 左中領域の出現率は, 他の5領域に比して統計的に有意に高かった. また, 胸腺腫有無・性別・病型・病悩期間・術前治療有無で胸腺組織出現率の比較を行い統計的有意差を認めなかった. また, 胸腺内の組織学的胸腺組織の密度と, 縦隔脂肪中の胸腺組織出現率の間には相関があった. 以上の結果より, MGに対する拡大胸腺摘出術の縦隔脂肪郭清に際して, 胸腺組織遺残の予防のために左肺門周囲に対する十分な郭清の必要性が認識された. また, 術前に収集しうる情報の中で, 縦隔脂肪中の組織学的胸腺組織出現を予想させる因子は認識されなかった. |