アブストラクト(40巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 大動脈弁閉鎖不全症における術前左室収縮末期容積係数と術後遠隔期の運動耐容能に関する検討-術後運動耐容能よりみたARの至適手術時期-
Subtitle : 原著
Authors : 箕輪隆, 鷲尾正彦
Authors(kana) :
Organization : 山形大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 40
Number : 12
Page : 2197-2204
Year/Month : 1992 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 大動脈弁閉鎖不全症(AR)に対する大動脈弁置換術(AVR)後の運動耐容能を良好に保つ至適手術時期を検討するために, 術後1年以上経過した男性23例(49±11歳)に, 自転車エルゴメーター負荷試験を行った. 術前左室造影上の収縮末期容積係数(LVESVI)は運動持続時間, 最高酸素摂取量(peak VO2), 嫌気性代謝閾値(AT)及び安静時血中ノルアドレナリン値(NAd)との間に強い相関関係を認めた(各々r=-0.80, r=-0.67, r=-0.49, r=0.83). 75W以上の負荷量を達成した14例中, 13例のLVESVIが70ml/M2以下であったので, LVESVI<70ml/M2をA群(13例), LVESVI≧70ml/M2をB群(10例)とした. 達成運動強度はA群では全例が75W以上達成できたのに対し, B群では75W以上達成できたのは1例のみであった. 50Wまでの負荷量に対するHR, BP及びCIの増加には差はなかったが, B群ではA群に比べ負荷量に対するVO2の増加が少なく, peak VO2も低値に終わり有酸素運動耐容能は劣っていた(A群20.9±3.7ml/kg/min, B群11.4±3.9ml/kg/min). 血中乳酸値は安静時では差が認めなかったが, 50WではA群12.5±3.7mg/dl, B群17.1±5.7mg/dlと有意差を認めた. ATもA群10.6±2.9ml/kg/minに対しB群6.8±2.3ml/kg/minで, B群の好気性運動能力は劣っていた. NAdは, 安静時すでにB群はA群より高く(A群173.7±34.2pg/ml, B群329.0±132.1pg/ml), 50W負荷時には, その差は拡大した(A群332.3±104.2pg/ml, B群746.7±324.3pg/ml). 以上から, 術後の運動耐容能を良好に温存するにはLVESVIが70ml/M2以下でAVRを施行した方がよいと考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 大動脈弁閉鎖不全症, 大動脈弁置換術, 術後遠隔期運動耐容能, 嫌気性代謝閾値, 血中ノルアドレナリン値
このページの一番上へ