アブストラクト(40巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 133Xe肺吸入シンチグラフィーによる肺切除術後の局所肺機能の評価
Subtitle : 原著
Authors : 表由晴, 前田富興, 池田康一郎, 久保良彦
Authors(kana) :
Organization : 旭川医科大学第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 40
Number : 12
Page : 2205-2211
Year/Month : 1992 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肺切除術を施行した肺疾患患者34例を対象に, 術前, 術後1ヵ月, 術後6ヵ月に総合呼吸機能検査と133Xeガス肺吸入シンチグラフィーを施行し, 術後呼吸機能の評価を行った. 呼吸機能の指標として, 努力性肺活量(FVC)と1秒量(FEV1.0)を用いた. 肺吸入シンチからは左右別及び上中下肺野別肺容量と, その洗い出し曲線(time activity curve)からT1/2(最大吸入量の半量が呼出される時間)を算出し, 局所の肺容量及び換気能の指標とした. 以上の検査結果から, 1)Aliらの式を用い, 術後呼吸機能の予測値と実測値との相関性について検討した結果, 術後6ヵ月においてFVC(相関係数r=0.895, 危険率p<0.001), FEV1.0(r=0.897, p<0.001)の両者とも高い相関関係を認め術前の総合呼吸機能検査に肺吸入シンチを組み合わせた本検査法が, 手術適応の有無, 術式の選択などに重要な役割を果たすと思われた. 2)術後肺容量の予測値に対する実測値の比率を, 術側肺及び対側肺別に計算し, 平均値±S.D.(%)で示すと以下の成績が得られた. 術後1ヵ月で術側:80.5±9.7, 対側:119.2±11.7, 術後6ヵ月で, 術側:111.0±5.6, 対側:96.7±16.4. 術側肺における1ヵ月値と6ヵ月値との間に有意差を認めた. 3)術側肺のT1/2の術前値に対する比は, 術後1ヵ月では約2.4倍に延長したが, 術後6ヵ月ではほぼ術前値に復した. 以上の成績から, 術後の呼吸機能は主として, 術後急性期では対側肺, 遠隔期では術側肺の代償により維持され, 術後呼吸管理の要点の1つになるものと思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 総合呼吸機能検査, 133Xe肺吸入シンチ, 術後呼吸機能予測, 左右別肺容量, 洗い出し曲線
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