アブストラクト(41巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 糖尿病合併例における胃大網動脈グラフトを用いた冠状動脈バイパス手術の検討
Subtitle : 原著
Authors : 中尾達也, 川上恭司
Authors(kana) :
Organization : 厚生連廣島総合病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 1
Page : 1-6
Year/Month : 1993 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 近年, 糖尿病(DM)合併例に対する冠状動脈バイパス手術(CABG)の検討が数多く報告されているが, 右胃大網動脈(RGEA)を用いたCABGに関して, 糖尿病合併例の検討を行った報告は今だ発表されていない. 当施設において1989年12月から1991年12月までの2年間にGEAを用いたCABGを65例に施行した. 非糖尿病群(I群)は42例(境界型群2例を含む), 糖尿病群(II群)は23例(食事療法6例, 経口糖尿病薬治療10例, インスリン治療7例)の2群に分けて, 手術近接期の臨床成績を両群について検討した. その結果, 手術近接期での臨床成績に関しては, DM群, non-DM群に明らかな差は認められず, 2群とも同様のCABG適応で臨むべきと考えられるが, DM群では術後創感染に対する注意が必要である. また, 術後4~8週目のグラフト造影でGEAグラフトの珠数状狭窄を呈したII群2例は, 遠隔期グラフト変性度, 更には遠隔期グラフト開存率に大きな問題を残すと考えられる. 更に, 術前グラフト造影で, GEAグラフトの50%狭窄(胃大彎中間部)を呈したII群1例は, 狭窄部より近位側にてグラフト吻合し得た. これらのことから, GEAグラフト使用の選択に際し, DM群では特に, 術前GEAグラフト造影が必要と考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 糖尿病, 胃大網動脈グラフト, 冠状動脈バイパス手術, 手術成績, 珠数状狭窄
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