Abstract : |
Synchronized retroperfusion pump(SRP)を用いて投与したsuperoxide dismutase(SOD)の効果を実験的に検討した. 実験群は犬を用い, A(コントロール)群(n=6):バルーンを用いた90分間の左前下行枝遮断による虚血の後, 再灌流を行った群. B(SRP処置)群(n=6):90分間の虚血の後, SRPを30分間作動させ, その後, 左前下行枝の遮断を解除した群. C(SRP+SOD処置)群(n=6):B群と同様であるが, 生食で溶解したヒト組み換えSOD(10mg/kg)をSRPを介して30分間投与した後, 左前下行枝の遮断を解除した群の3群とした. 左室駆出率は再灌流2時間後でC群がA群に比し有意に良好であった(p<0.05). 再灌流4時間後の虚血部心内膜下側心筋組織血流量は虚血前値に対してA群:25%, B群:38%, C群:76%で, それぞれの群間に有意差を認めた(p<0.05). 心筋梗塞サイズ(梗塞領域/虚血領域)はA群:36.0±8.2%, B群:17.2±14.6%, C群:5.7±3.5%でB,C群ともに有意の縮小を認め, 更にB,C群間にも有意差を認めた. 以上, SRP及びSRPを用いて投与したSODにより心筋の虚血再灌流障害が有意に抑制されたことから虚血・再灌流障害の原因には物理的な再灌流障害の存在とともに, 活性酸素発生の関与が示唆された. |