Abstract : |
自然気胸患者30例において肋間小切開法(ミニ開胸)によるbulla切除を試み, 手術侵襲の程度, 再発の有無, 経済性について腋窩切開法との比較検討を行った. 本法は患側腋窩部の肋間に小切開を加え肺尖, 又は外側に存在するbullaを胸壁外へ引き出し切離縫合するものである. この術式の手術時間, 術後有熱日数, 排液量, 術後1日目の白血球数, 3日目のCRP, PSTI(pancreatic secretory trypsin inhibitor)値, 術後入院日数, 総治療費について検討した. 腋窩開胸患者20例を対象とした. 手術時間は腋窩開胸が41±12分であるのに対しミニ開胸は25±10分であった. 有熱日数は腋窩開胸が3.6±1.6日であるのに対しミニ開胸は2.6±1.2日であった. 排液量は腋窩開胸が114±93mlであるのに対しミニ開胸は51±45mlであった. いずれも有意に短縮または減少した(p<0.005, p<0.01, p<0.025). 白血球数は腋窩開胸が9,966±3,034/mm3であるのに対しミニ開胸は10,955±2,564/mm3であった. CRPは腋窩開胸が15±6mg/dlであるのに対しミニ開胸は16±7mg/dlであった. PSTIは腋窩開胸が6.2±1.4ng/mlであるのに対しミニ開胸は7.4±0.9ng/mlであった. いずれも有意の減少は認められなかった. 術後入院日数は腋窩開胸が9.7±1.2日であるのに対しミニ開胸は8.0±2.0日と有意に短縮された(p<0.005). 総治療費は保険点数で腋窩開胸が59,661±6,129点であるのに対しミニ開胸は49,467±8,773点と有意に軽減された(p<0.005). 再発はミニ開胸で1例認められた. ミニ開胸は腋窩開胸に比し簡便にbulla切除が可能であり手術侵襲も少なく優れた根治的手術となりうる. |