アブストラクト(41巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺動脈弁欠損を伴うファロー四徴に対する手術術式の検討
Subtitle : 原著
Authors : 岸本英文***, 八木原俊克*, 磯部文隆*, 山本文雄*, 西垣恭一*, 中谷充*, 藤田毅****, 高橋長裕**, 神谷哲郎**, 川島康生*
Authors(kana) :
Organization : *国立循環器病センター心臓血管外科, **国立循環器病センター小児科, ***大阪府立母子保健総合医療センター, ****国立東静病院
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 1
Page : 57-62
Year/Month : 1993 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肺動脈弁欠損に対する外科治療成績より手術々式の検討を行った. 1987年11月~1990年5月までの間に, 7例の肺動脈弁欠損を伴うファロー四徴に対し根治手術を行った. 乳児期手術例は5例(手術時年齢は26日~5ヵ月), 幼児期手術例は2例(いずれも1歳10ヵ月)であった. 幼児期手術例では, 術前呼吸器症状はないかあっても軽度であったのに対し, 乳児期手術例では全例が重篤な呼吸不全のため, 術前より人工呼吸管理を必要とした. 手術は, 幼児の2例ではVSDの閉鎖, ブタ心膜で作成した1弁付きtransannular patchによる右室流出路再建と, 拡張した左右肺動脈の縫縮を行った. 乳児の5例ではVSDの閉鎖と, ブタ心膜で作成した3弁付き心膜ロールを用いて右室流出路を再建し, 4例では肺動脈の縫縮を行った. 肺動脈の縫縮を行わなかった最初の1例は術後呼吸不全症状が改善せず, 術後3ヵ月に左肺動脈の縫縮とつり上げ術を施行したが, その後も喘鳴が持続し, 気道感染をくり返すうち根治術後13ヵ月目に遠隔死亡した. 根治手術時に肺動脈の縫縮を同時に行った以後の4例の術後経過は比較的良好で, 左右肺動脈の前壁を大きく切除後, 十分末梢の左右肺動脈まで連続縫合により確実に縫縮を行った最近の3例の術後の呼吸不全症状の改善は著しいものであった. 以上より, 重篤な呼吸不全症状を伴う乳児期の本症では, VSDの閉鎖, 肺動脈弁挿入による右室流出路再建と拡張した肺動脈の確実な縫縮を行うことが, 術後早期よりの呼吸不全症状の改善に重要であると考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺動脈弁欠損, ファロー四徴, 肺動脈縫縮術, 肺動脈つり上げ術, 3弁付き心膜ロール(VPR)
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