アブストラクト(41巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 培養心筋細胞を用いた心保存における心筋保護効果の実験的検討-特に低温保存の心筋細胞に与える影響について-
Subtitle : 原著
Authors : 広岡茂樹, 折田博之, 鷲尾正彦
Authors(kana) :
Organization : 山形大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 1
Page : 63-71
Year/Month : 1993 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 培養心筋細胞を用いた心筋保護研究方法の確立及び低温の心筋細胞に与える影響を検討する目的で, 生後0~1日の新生仔ラット摘出心より分離した培養心筋細胞を用いて6, 12, 18, 24, 36, 48時間の4℃低温保存(H群)及び37℃常温培養(N群:control)を行った. N群では拍動回復率, CPK値, LDH値は6時間培養(N-6)と48時間培養(N-48)との間に有意差を認めず良好な拍動状態及び生存性を保持した. H群では18時間保存(H-18)から拍動回復率(%)は58.4±41.6(vsN-18:102.0±17.6, p<0.05)と有意に抑制された. CPK値(mIU/flask)はH-18で131.8±91.5(vsN-18:9.10±7.25, p<0.05), LDH値はH-18で356.0±131.1(vsN-18:216.4±21.7, p<0.05)と両者ともに18時間から有意な上昇を認めた. 4℃の低温保存では以後経済的に拍動率の低下及び逸脱酵素値の上昇を認め, 48時間保存で全細胞が細胞壊死に陥った. 4℃保存で細胞障害が顕著に現れる36時間の保存時間において10℃, 15℃, 20℃と保存温度をかえて細胞障害性について検討した結果, 10℃, 15℃, 20℃の保存温度では細胞障害は認められなかった. 以上の結果から, 4℃の低温保存には細胞障害性があり, 細胞障害は経時的に進行し, ある一定の閾値時間(18時間)までは障害は可逆性であり, 閾値時間を越えると不可逆性の細胞障害へと進展するのではないかと考えられた. また, 低温細胞障害を起こさない限界の温度は10℃と考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 培養心筋細胞, MCDB107培地, 心筋保護, 低温心保存, cold injury
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