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山田修, 数井暉久, 山田陽, 越野督央, 桜田卓, 池田勝哉, 川島敏也, 佐々木昭彦, 井上紀雄, 小松作蔵 |
| Abstract ： |
1976年9月から1991年12月末日までの15年間に, composite graftを用いて大動脈基部病変を再建した54例の手術成績と遠隔成績及びその問題点について検討した. 大動脈病変は, 非解離性35例, Stanford分類A型解離19例（急性解離6例, 再手術1例）であり, annuloaortic ectasia（AAE）は49例に, マルファン症候群は26例に合併していた. 冠血行再建術式としては, 冠動脈とグラフトとの直接吻合（Bentall原法）45例, aortic button technique（Carrel patch法）6例, Cabrol法2例及びPiehler法1例であった. Inclusion techniqueは48例に, 最近の6例にはexclusion techniqueを用いた. また, 解離病変の7例には選択的脳灌流法を用いて弓部大動脈置換術を同時に施行した. 病院死の原因は, 術後出血あるいはLOSであり, 病院死亡率は全体では12.9％であったが, 最近の10年間では6.7％と有意（p<0.05）に低下した. 遠隔死は5例で, 原因は不整脈死, 突然死あるいは心内膜炎であった. 病院死を含む10年生存率は, 全体では76.4％, 非解離群75.8％, 解離群78.4％であり, マルファン合併例では70.4％, 非合併例では81.6％であった. 再手術を要する冠動脈吻合部の合併症は1例に認めたのみであったが, 上行大動脈以下の大動脈瘤に対し5回の外科治療を施行し, 術後10年の再手術event free rateは, 全体では74.1％, 解離群61.5％, マルファン合併例は63.3％であった. 結論として, composite graft法はAAE, 大動脈基部解離など大動脈基部病変の再建術として有用且つ安全な術式であり, 最近10年の手術成績は著しく向上した. 本術式の遠隔期での合併症あるいは他病変の発症に対して, 定期的なfollow-upが重要である. |
