アブストラクト(41巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 外傷性胸部大動脈瘤の1治験例
Subtitle : 症例
Authors : 和泉裕一, 笹嶋唯博, 小窪正樹, 吉田博希, 大谷則史, 久保良彦
Authors(kana) :
Organization : 旭川医科大学第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 2
Page : 262-265
Year/Month : 1993 / 2
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 交通事故受傷後1年8ヵ月を経過した慢性期の外傷性胸部大動脈瘤の1例に対して手術を行い良好な結果を得たので報告する. 症例は嗄声を主訴とする51歳男性で, 精査により胸部大動脈瘤による左半回神経麻痺と診断された. 動脈瘤は径3.8cmの嚢状の仮性瘤で近傍の大動脈壁が全く正常であったことから, partial clamp下に瘤切除, 破裂孔の直接縫合閉鎖が可能であった. 本邦では慢性期の外傷性胸部大動脈瘤は比較的少ないとされているが, 胸部外傷後は本疾患を念頭においたfollow upも必要である. 胸部大動脈損傷は, 本邦では比較的少ないとされているが, 最近の交通外傷の増加に伴い, その報告例も増加の傾向にある. しかし, 受傷後早期に出血のために死亡する症例が多いことから, 慢性に経過し胸部大動脈瘤となる症例は非常に少ない. 本邦では田辺ら1)が1984年に心臓大血管損傷の現況を報告しているが, これによると大動脈損傷は全体の15.5%と心臓損傷に比べると少なく, また剖検の集計から死亡までの時間をみると非穿通性損傷の90.4%は30分以内に死亡し, 1日以上生存するものはわずか1.6%である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 外傷性胸部大動脈瘤, 胸部外傷, 仮性動脈瘤
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