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St. Thomas' Hospital液に酸素並びにfree radical scavengerの1つであるSuperoxide dismutase（SOD）を添加し, 低温虚血下における心筋保護効果を32匹のラット摘出心を用いて血行動態的並びに形態学的に検討した. 心筋保護液の酸素加は95％O2+5％CO2で行い, SODは400mg/lの濃度で溶解し, 投与した心筋保護液の性状により, 以下の4群（各群n=8）に分類して検討を行った. すなわち, I群：酸素加（+）, SOD（+）, II群：酸素加（-）, SOD（+）, III群：酸素加（+）, SOD（-）, IV群（対照群）：酸素加（-）, SOD（-）である. 実験方法として, まず22℃の低温下で180分間の大動脈遮断を行い, 心筋を虚血状態としている間は心筋保護液を大動脈遮断時及び以後30分間隔で3分間に40ml投与した. その結果, 虚血作成前値に対する大動脈流量の回復率は, I群76.7±11.7％, II群66.9±7.1％, III群73.9±11.6％, IV群57.7±12.9％という値が得られ, I群とIV群間（p<0.01）及びIII群とIV群間との間で有意差（p<0.05）が認められた. 一方, 大動脈流量の回復率（Y）と心筋標本の複屈折性の相対的変化（以下birefringence ratio）（X）との間にはY=29.7+19.1X（R=0.74）という正の良い相関が認められた. 更に, 4群間のbirefringence ratioを比較するとI群2.49±0.53, II群1.96±0.44, III群2.04±0.29, IV群1.65±0.39という値が得られ, I群とIV群間にのみ有意差が認められた. このように低温心停止下において, St. Thomas' Hospital液へのSODのみの添加では十分な効果は確認されなかったが, 酸素及びSOD両者の添加によって血行動態並びに形態学的に有効であるという事実が確認された. |
