アブストラクト(41巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 糖尿病合併症例に対する冠動脈バイパス手術の成績及び問題点
Subtitle : 原著
Authors : 保浦賢三*, 松浦昭雄*, 沢崎優*, 柵木隆志*, 岡本浩**, 小川裕***, 関章****, 星野元昭*****, 朝倉貞二*****, 阿部稔雄*
Authors(kana) :
Organization : *名古屋大学医学部胸部外科学, **市立四日市病院胸部外科, ***小牧市民病院心臓外科, ****市立岡崎病院心臓外科, *****公立陶生病院心臓外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 3
Page : 363-366
Year/Month : 1993 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 冠動脈バイパス手術(CABG)症例のなかには糖尿病(DM)を合併した症例がよくみられる. 一般にDM症例の冠動脈病変は重篤と報告されていることから, DM症例に対するCABGは非DM症例に対するそれとは若干の違いがあると推定される. 一方, 最近ではCABGはその適応が低左室機能例にまで拡大され, 且つ手術手技の面では動脈グラフトが積極的に用いられている. 著者らは最近の6年間余りにCABGを430例施行したが, これらの症例群を術前に経口糖尿病薬の内服, 又はインスリン治療を施行していたDM群(91例)と非DM群(339例)に分類して, 術前状態, 手術操作及び術後の状態について比較検討した. その結果, DM症例の術前状態は病変枝数が多く(p<0.025), 確かに非DM群に比して重症であった. しかし手術はDM群には総計229ヵ所(平均2.5ヵ所/1例), 非DM群には815ヵ所(平均2.4ヵ所/1例)の末梢側吻合を施行し, 動脈グラフトも両群にも有意差なく使用した結果, 手術成績に差はなかった. また術後の合併症においても胸骨正中創感染の頻度を除いてDM群にとくに問題は認められなかった. 従って, DM合併症例に対するCABGは術後の胸骨感染合併のみを注意すれば非DM群に比較して遜色はないものと考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 糖尿病, CABG, 胸骨感染, 動脈グラフト
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