アブストラクト(41巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心房位修復術後の徐脈性不整脈に関する基礎的研究
Subtitle : 原著
Authors : 浅野宗一, 山城敏行, 田宮達男
Authors(kana) :
Organization : 高知医科大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 3
Page : 379-388
Year/Month : 1993 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 各種心房位開心術後は上室性不整脈が発生し, ときに突然死を来すことも報告されているが, その発生機序はいまだ不明なところが多い. これらのうち心房内結節間伝導路部(INT部)障害と洞結節動脈(SANA)障害が徐脈性不整脈の発生に及ぼす影響を解明するため, 以下の実験を行った. 雑種成犬40頭を用い, 体外循環下に前・中・後結節間路(AINT・MINT・PINT)に相当する部分の心房筋全層の切断とSANA結紮とを行い, それらの障害による調律の変化, 洞結節組織血流量(SANF)等について検討を加えた. 結果:1. AINT切断+SANA結紮においてのみ87.5%と高率に房室接合部調律または異所性心房調律が発生したが, 各INT部切断のみでは不整脈は発生せず, SANA結紮のみでも不整脈発生は18%であった. 2. SANFは, AINT部切断+SANA結紮において対照群の29±17%に低下し, 各INT部切断のみ(AINT:91±16%, MINT:84±12%, PINT:90±18%)や, SANA結紮のみ(55±16%)より有意に(p<0.01)低かった. 3. SANFが, レーザー血流計で10 Laser Doppler Flow unit(LDFunit)以下では洞調律を維持し得たものはなく, 洞調律の維持のためにはSANFが10LDFunit以上必要であると考えられた. 4. 房室接合部調律に移行する直前は修正洞機能回復時間の延長を認め, 洞機能の低下を示した. 5. A-H時間はAINT部切断においてのみ対照群よりの有意(p<0.01)な延長を認めた. AINT部切断はA-H時間を延長させ, AINT部切断+SANA結紮は著しく洞機能を低下させるため, 心房手術侵襲に起因する徐脈性不整脈発生防止には, AINT部並びにSANAの温存が重要であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 上室性不整脈, 心房内結節間伝導路, 洞結節栄養動脈
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