アブストラクト(41巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術後肺血管外水分量の検討
Subtitle : 原著
Authors : 伊波潔, 古謝景春, 国吉幸男, 赤崎満, 宮城和史, 新屋瑛一, 大嶺靖, 城間寛, 喜名盛夫, 草場昭
Authors(kana) :
Organization : 琉球大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 3
Page : 389-395
Year/Month : 1993 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 過去7年間に204例の開心術症例において二重指示薬希釈法により術後肺血管外水分量(EVLW)の測定を行った. 全症例における体外循環終了後2, 4, 8, 24, 48時間目に測定したEVLWは4時間目に一過性の減少を示すものの, 全体としては術後大きな変動を示さず, 平均7.62±3.58ml/kgであった. 各疾患群における検討では僧帽弁膜症を有したI群(MVR群), III群(AVR+MVR群)はII群(AVR群), IV群(非チアノーゼ性先天性心疾患群), V群(A-C bypass群)に比し有意に高値を示した. 臨床上肺水腫と診断された7例のEVLWは14.47±4.44ml/kgであり, その他の症例(7.54±3.60ml/kg)に比し有意に高値を示した. 気泡型肺使用症例における術後EVLWは平均8.61±3.90ml/kgと膜型肺使用症例(7.15±3.40ml/kg)に比し有意に高値を示した. 術後EVLWは肺動脈平均圧(mPAP), 左房平均圧(LAP), 肺血管静水圧(PMV)との間に正の相関を, 心係数(CI)との間に負の相関を認めたが, 体外循環時間との間には相関性を認めなかった. 術前の諸因子と術後EVLWとの検討では, 年齢, mPAP, 平均肺動脈楔入圧(mPAWP), PMV, BUN, Crとの間に正の相関を, CI, %VC, 一秒率, PSP, CCrとの間に負の相関を認めた. 術前後のmPAP, LAPの高い僧帽弁疾患, 術前呼吸機能低下及び腎機能低下症例, 高齢者ではEVLWが高い傾向にあり, このような症例では術中術後の管理にあたって肺水腫の発生に十分な配慮が必要であり, 人工肺の選択にあたっては膜型肺が有用である. また, EVLW10ml/kg以上の場合は要注意であり, 水分バランスに注意し, 利尿によるmPAP, LAPの上昇の抑制が肺水腫の予防において重要である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺血管外水分量, 開心術術後
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