| Authors ： |
高英成, 今井康晴, 黒澤博身, 澤渡和男, 河田政明, 松尾浩三, 竹内敬昌, 寺田正次, 山岸正明, 長津正芳 |
| Abstract ： |
大動脈弁下狭窄（SAS）を合併した三尖弁閉鎖症, 単心室症に対する外科治療について検討した. 疾患の内訳は三尖弁閉鎖3例（IIb1, IIc2）, 単心室11例（左室性7, 右室性4）で大動脈縮窄症（CoA）を7例に合併していた. 乳児期例（17日～6ヵ月, 平均3ヵ月）は6例で, 軽度のSASであった4例は肺動脈絞扼術（PAB）, 又はPABとsubclavian flap法を施行し, 高度のSASであった2例ではNorwood手術を施行した. 乳児期以降例（3歳～11歳, 平均5.9歳）の8例では, SLL型左室性単心室の5例に対して中隔形成術と室間孔拡大術を, 右室性単心室の1例と三尖弁閉鎖の1例に対してはDamus吻合を加えたFontan手術を行い, Fontan手術後にSASが発生した1例には室間孔拡大術を行った. いずれの群においても手術死亡はなく, Norwood手術後の2例に遠隔期Fontan手術を行い, 1例を失ったが, 他に遠隔死亡を認めない. 乳児期以降例の術前の主心室拡張末期容積は318.6±110.6％ofN, 駆出率は58.6±6.9％, 主心室拡張末期圧は9.8±3.1mmHgであった. 乳児期, 高度のSASを合併した三尖弁閉鎖, 単心室はNorwood手術により救命が可能である. 根治術に際しては, 中隔形成術では室間孔拡大術が, Fontan手術ではDamus吻合がSASの解除に有効である. |
